戦後まもない北九州の炭鉱で起きた、不可解な連続怪死事件。現場に現れた黒面の狐は、人なのか、人にあらざるものなのか?炭鉱で働く屈強な男たちの心を、次第に疑いと恐怖が蝕んでいく。真相を知るのはただ、ヤマの神と、黒面の狐のみ…?ホラーミステリーの名手、三津田信三による、重厚かつ壮大な書下ろし長篇。
終戦直後の炭鉱労働者の過酷さとか、朝鮮人の戦中戦後の扱いとかかなり綿密に取材して書かれたんだなーとは思うし作者が書きたかったことだとは思うんだけど、わりと長くて冗長なので飛ばして読んでしまったり。
ミステリとして読むと、三津田作品お得意の解決編で二転三転する推理があって楽しめるものの「まさか、さすがに気付くだろうからソレはミスリードだろう」と真っ先に切って捨てた容疑者が犯人なんで拍子抜け。やっぱりミステリ部分より歴史的な部分を書きたかったんだろうなぁ、と思わざるを得ない。
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