絃の聖域

2011年6月7日 読書
人間国宝、長唄の安東流家元の邸内で女弟子が殺された。左手には三味線の撥が握られていた―。犯人は内部の者としか考えられなかった。二代にわたって妾を邸内に住まわせているこの家では、夫婦・親子の間で嫉妬や憎悪が渦巻き、誰かが誰かを殺す動機には事欠かないほどだった。しかしなぜ女弟子が?警察が謎の糸口もつかめないまま、やがて第二の殺人が…。名探偵・伊集院大介が初登場する、本格推理の名作。

なんとも懐かしい作品で、最初に読んだのは自分が高校生ぐらいのときだったような気がする。シリウス編以降の伊集院大介シリーズを探しててつい手にとってしまった。
冒頭からいきなり801で面食らったが、その後の展開は無茶苦茶格調高い本格ミステリ。特に伝統芸能の家元を舞台にしているせいか、常に張り詰めたような緊張感というか静謐な空気感が漂ってステキすぎる。

途中の見立て(というかダイイングメメッセージ)こそちょっと微妙に感じたけど、終盤の展開から伊集院大介の推理シーンからどんでん返しまで怒涛の展開は秀逸で、栗本作品でも自分内では一、二を争うと思ってる。

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