遠まわりする雛

2010年5月24日読書

神山高校で噂される怪談話、放課後の教室に流れてきた奇妙な校内放送、摩耶花が里志のために作ったチョコの消失事件―“省エネ少年”折木奉太郎たち古典部のメンバーが遭遇する数々の謎。入部直後から春休みまで、古典部を過ぎゆく一年間を描いた短編集、待望の刊行。

登場人物が歳の割に熟成した、でもある意味自意識過剰な厨ニ思考なシリーズ。いやその辺も含めて好きなんですけど。

今回は「手作りチョコレート事件」と「遠まわりする雛」でソレが炸裂。特にチョコの話は、普通なら主人公が犯人殴るトコだろーとかモヤモヤしつつも、そこがまたこの主人公らしい、あるいは高一らしいと捕らえるべきなのか。

そこらへんの対応も踏まえての表題作ラスト。うーんなるほど、そう来ないでこー来るのか。「遠まわり」っていうのは雛祭りの行列コースなだけではなく、彼ら二人の関係も示唆したタイトルなのかも。

小市民シリーズの二人もそうだけど、この人の描くカップルは中々一筋縄では行かないなぁ。