ISBN:4488017037 単行本 米澤 穂信 東京創元社 2004/02 ¥1,575
一九九一年四月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。気鋭の新人が贈る清新な力作。

ミステリとしては、弱いと言わざるを得ない。

「日常の謎」に連なる系譜の話なんだけど、出てくる謎(提起者が外国人なので日本の風習やらに関することが多い)があんまり魅力的でない上に、その解が真であったかどうかもあやふやだからだ。

ただ、弓道の試合での謎提起は後半の展開の伏線になっていたり、主人公の人となりを非常に良く表していたりで印象に残った。
 
 
 
*ミステリとして読まない場合。

後味の非常に悪い、だけどもズーンと残ってしまうお話。マーヤのキャラは独特で魅力あるものだと思う。

同じような読後感の悪さと重さ、「青春小説」的な要素があり尚且つ傑作だったものとして「依存」とか「少年たちの密室」が個人的に好きなんだけど、自分内ではそれに並んだ。

コメント

nophoto
ギア
2008年1月18日0:44

確かに、いわゆる本格ミステリではないですね。しっかり読んで考えれば必ず解へ辿り着けるわけでもないように思えますし。ラストについて、「後味が悪いけど、残ってしまうものがある」というのは、面白い言い表し方だと思いました。

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