ISBN:4061825135 新書 歌野 晶午 講談社 2007/01/12 ¥1,040
<頭狂人><044APD><aXe><ザンギャ君><伴道全教授>。
奇妙なニックネームを持つ5人がインターネット上で殺人推理ゲームの出題をしあっている。
密室、アリバイ崩し、ダイイングメッセージ、犯人当てなどなど。
ただし、ここで語られる殺人はすべて、現実に発生していた。
出題者の手で実行ずみなのである……。
茫然自失のラストまでページをめくる手がとまらない、
歌野本格の粋を心して噛み締めよ!


滅茶苦茶突飛に見えるけど、でも今の世の中ならば起こってもおかしくないかも、というギリギリの...イヤやっぱ無ェかこの設定は。

登場人物がゲームとして殺人を犯すという相当アレな話なんだけど、狂気とか陰湿さがあんま無いのはそう意識して書かれてるからに思う。

パズルとして読むと、これが非常に面白い。最初のミッシングリング問題は「アレだろアレ、なんで気付かないかなー」と思ったら想定外のリングの人が殺されて「アレ?」ってなるのがグッド。

首切り問題も、うまく猟奇的に味付けすれば長編は無理でも中編の一本も書けそうなトリックだし、密室問題はバカミスなトリックだけどそのありえなさが秀逸。

また、このテの「WEB会議室もの」の定番オチでアノ人がアノ人のアレなんだろうなーはかなり初期の段階で想像つくが、それがあーいうトリックに結びつくのは予想外だった。

そして「茫然自失のラスト」だが、確かにそれまでの内容と明らかにカラーの違う章だった。
実は内心ラストは「これまでの事件は、ヒッキーな主人公を探偵&殺人行為の口実で外に連れ出し社会復帰させるためのお芝居で、誰も殺されてないんだよー」と思っていたけどそんな訳はなく。

感想BLOGでいろんな解釈を見たけど、やっぱりスイッチが絞首台の完全なオマージュになってることから「殺人は平気だが、絞首台のスイッチは押せない」というさかさまな精神構造を浮き彫りにしたかったのかなーというのに一票。

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