ISBN:4043791046 文庫 森 絵都 角川書店 2006/06 ¥580
密室で決定されたオリンピック代表選考に納得のいかない要一は、せっかくの内定を蹴って、正々堂々と知季と飛沫に戦いを挑む。親友が一番のライバル--。そんな複雑な思いを胸に抱き、ついに迎える最終選考。鮮やかな個性がぶつかりあう中、思いもかけない事件が発生する。デッドヒートが繰り広げられる、決戦の行方は?! 友情、信頼、そして勇気。大切なものがすべてつまった青春文学の金字塔、ここに完結!

この本、元々は4冊だったのを上下間の文庫にしたそうで。1巻は知季、2巻は飛沫、3巻は要一をそれぞれ主人公にしたストーリーが語られる。その中で彼らは悩み壁にぶつかり、それを克服するためにDIVEの新技に挑む。それが各巻(各章)のタイトルになってる「前宙返り3回半抱え型」「スワンダイブ」「SSスペシャル’99 」である。

そしてオリンピック選考会を描く4巻分では、決勝の10本のDIVE1本1本ごとに、これまで登場した9人の登場人物の視点にめまぐるしく切り替わる。競技者、コーチ、観戦者らから多角的に語られる展開はスリリングでドラマチック。

これはもうね、構成の勝利でしょう。主人公3人に感情移入させるだけさせといて、最終章はその誰かの視点に固定せず均等に見せ場与えられてるもんなぁ。どれも勝たせたいって思っちゃうよ皆。
 
 
 
*ところでこの文庫版、上巻の解説が「バッテリー」の著者あさのあつこで、下巻の解説が「一瞬の風になれ」の佐藤多佳子だったりする。最近自分が読んだスポーツ青春小説の作者が一同に会したことになるのだが、これは偶然じゃなく必然だろうな。

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