ISBN:4061821474 単行本(ソフトカバー) 古処 誠二 講談社 2000/09 ¥861
東海地震で倒壊したマンションの地下駐車場に閉じ込められた六人の高校生と担任教師。暗闇の中、少年の一人が瓦礫で頭を打たれて死亡する。事故か、それとも殺人か?殺人なら、全く光のない状況で一撃で殺すことがなぜ可能だったのか?周到にくみ上げられた本格推理ならではの熱き感動が読者を打つ傑作。

ついこの間舞城王太郎の直木賞云々を話題にしたと思ったら、もう次の芥川賞・直木賞の候補作が決まってたりします。
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050106-00000046-kyodo-ent
芥川賞は白岩玄か山崎ナオコーラで話題取るとして、問題は直木賞。
ガノタ的には福井晴敏なんですが、ミステリ読みとしては古処誠二を推さざるを得ません。

古処誠二は例によって第14回メフィスト賞作家ですが、受賞作と3作目では自衛隊内を舞台にした、ユーモア交じりの軽い文体でありながらテーマは重厚でリアルなミステリを上梓。そしてこの2作目では、終盤でどんでん返しが連続する密室モノに教育問題や地震都市問題をからめ、読んだ後もズシリとクるハードな作品を出しています。個人的に2000年のミステリのベスト。

そんな古処誠二ですが、4作目で太平洋戦争を題材にした「ルール」を出して以降、戦争文学のほうに行っちゃってミステリのほうに戻ってきてくれません。今回候補になった「七月七日」も戦争モノですし。こっちが面白くないかと言われるとそんな事はなくむしろ感動しましたが、でもやっぱミステリの新作が読みたいな、と。

ちなみにこの人は戦後生まれの34歳で、当然戦争経験はありません。そんな人があの時代の話を書くってことで色々言われてるみたいですが、逆に作家のイマジネーションの凄さも感じることが出来ます。

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