1988/11/21 ¥3,066

東京少年は、88年にVo.の笹野みちるが中心になって作られたバンド。
ただし笹野主導ではなく事務所が笹野を売り出すために結成されたバンドで、
このファーストアルバムでは後のメンバーもまだ決まっておらず参加していない。

数年後彼女は、アイドル的に自分を売り出そうとする事務所のやりかたに嫌気が差し、
表面上は"学業復帰のため"東京少年を解散させる。

数年後、笹野はソロ・アーティストとして復帰。
そして95年、著書「Coming Out」にてカミングアウト。
もっとも、いくつかの曲やラジオでの発言、ライブでのMCで
ファンもだいたい判っていて、騒いだのはワイドショーだけだったという。

自分がかつて東京少年に、いや佐野みちるに魅かれたのは
彼女のこうしたパーソナリティに自分なりに共感するものがあったんだろうな〜っと。
それはまぁ余談。

といわけでレビュー機能を試しに使ってみるの巻。


#1.ジョギング・シンガー
東京少年の特徴の一つである「ブリティッシュっぽい重厚なリズム&ギター」と
ほのぼのな歌詞のギャップがいきなり垣間見える。
"人に言わせりゃそこそこうまいボーカリストの僕"と言い切るあたりさすが。

#2.15 to 16
中学から高校への少年の微妙な心の揺れを...
てほど大上段でなく、ユルユルに描いた一作

#3.ハイスクール・デイズ
笹野の詩には学生時代の郷愁をたまらなく思い起こさせるものが多いが、その最右翼に位置する作。
「高校を卒業しても友達でいようね」と誓い合った「君」と「僕」だけど...という詩は、
実際そういう経験があるかないかによってシンクロ度が段違い。
ちなみに俺にはある。

また全編を通して刻まれるギター四分音符は"時計の秒針"で時が無情に過ぎ去っていくことを暗示しているが、
サビの高校時代を回想しているメロでは刻まれず、代わりに学校のチャイムを思わせるゆったりした旋律が流れる。深い。

#4.道の上
笹野の詩の特徴は大きく分けて3つあり、それぞれ
「ほのぼのストーリー調」「童謡調」そして「難解哲学調」である。
このタイトルは童謡調の曲・詩だが、その意味するところは非常に難解であり
10年以上経った今でもよく解らない。深い。

#5.秋の夜長に
コドモから大人になって、過去の輝いた日々を懐かしみ取り戻そう...な曲。
後ろ向きでちょっと鬱入る。

#6.性差別
アレなタイトルだけど重くは無く、むしろアッケラカンで明るい。
後のカミングアウトのことを考えると、この場合の「性」は"セックス"ではなく"ジェンダー"のことではないか、
とか深読みしたり。

#7.少年の夢
テーマとしては「世界にひとつだけの花」と真逆で、
一番になれくって打ちのめされた、と歌うナンバー。
「そこから這い上がろう」とか「ナンバーワンになれなくてもいい」とかいう前向きなことを言うでもなく、
あきらめて終わり...というスゲー歌詞。
ラスト2行の詩が「とんだ最近の...」から「とんだ昔の...」と一気に時が進んでるので
そこは深読みすべきトコかもしれない。

#8.タッチ交代
少年期の倦怠感・不安感をスカッと吹き飛ばすような歌詞...
で解釈はいいんだろうか。自信もてない。
ライブでは盛り上がり極だったんだけど。

#9.ムーミン
あのムーミンかというとそうではなく、かといって「じゃ何?」と聞かれても「さぁ?」としか。
ゆったりとした癒し系の曲。

#10.れんがの学校
U2のような重厚なリズムサウンドにほのぼのとした学園生活のストーリーが乗っかるという
ミスマッチの局地でありながら超名曲。
話の内容は要約すると、

チビでミソッカスな"僕"と、優しくて優等生の"君"
僕と君はともだち。だけど君は誰にも優しくどんどん人気者に。
対抗心で僕は目立つためにグレてはしゃぎまわって
でもなんだか心は満たされなくて
それでも君は今までと変わらず接してくれて...
ゴメン、ホントは君と友達でいたいんだ


まぁ、そのままBLコミックに持っていって差し支えないストーリーですな。
このへんやっぱり彼女のパーソナリティーが垣間見える。

で、この曲を名曲認定するかどうかはまぁ、
"似たような経験があるかないか"がキーポイントなわけで。
自分の場合...え、え〜と、ウチの母校の校舎は鉄筋製なんだけど図書館の建物だけ煉瓦作りで
「あ〜俺んトコ"れんがの学校"だァ〜」と喜んだっけなぁ...

ところでこの曲に限らず笹野の曲の主人公は"僕"で相手役は"君"なのが多い。
大体の場合視聴者は「男の子同士」を想定するかと思われるが、
実は曲の中に性別を確定させる要素が何一つ無い場合がほとんどで
聞き方によっては男女の歌に受け取ったり(笹野自身の事を考慮して)女の子同士と受け取ることもできる。
まるでミステリの叙述トリック。実際男女の歌と思わせて女の子同士の恋愛を歌った曲も後のアルバムに収録されてるし。

#11.空の下
ゆったり、雄大な感じの曲。
アルバムの最後に相応しい曲ではあるが、特に思い入れはなし。


*長々とレビューなんかやったのはなぜかっつーと、

・日記BLOGにすっけどタイトル考えなくちゃ
   ↓
・手持ちのCDのタイトルから適当に拝借すっか
   ↓
・マウンテンサイクルから東京少年のCD出てきたよ、ナツカシー
   ↓
・1曲だと芸内からこの#4と#11繋げてタイトルにしよう
   ↓
・ついでにタグの練習兼ねてレビュー機能って奴試しにつかってみよう

...な流れです。長々とスマソ。

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