ISBN:4408534773 単行本 西澤 保彦 実業之日本社 ￥1，680

身近で不可解なことが起こり思案に暮れる人々の近辺の、ありえないようなところに突如現れる市民サーヴィス課出張所。
そこに座る”戯画から抜け出てきたような”お役人的風貌の男−トレードマークは腕貫−に事件の相談をすると、お役所仕事的に解決の糸口を与えてくれる...


主人公のイメージは佐野史郎一択で。


プロット的には同じ作者の「完全無欠の名探偵」とか、キャラの神出鬼没さでは「リドル・ロマンス」とカブるところもある。っていうかシリーズにしとけーみたいな。でも「お役所仕事的に、機械的に助言を与え、持ち時間が過ぎたら問答無用で相談打ち切り」というクレバーなキャラ造型は面白い。

...が、エピソードを重ねるごとにお役所的だったのが庶民的になってしまい、最後の話では「いい人」っぽくなっちゃったのが残念。

あと、この頃の作風で「後味悪い」が多かったのが、今作では無条件ハッピーエンドなエピソードが2つもあったりする。うーむいいのか悪いのか。

ISBN:4062135620 単行本 佐藤 多佳子 講談社 ￥1，470

「速くなる」
ただそれだけを目指して走る。
白い広い何もない、虚空に向かって…………。
春野台高校陸上部。とくに強豪でもないこの部に入部した2人のスプリンター。ひたすらに走る、そのことが次第に2人を変え、そして、部を変える。「おまえらがマジで競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説、誕生。

土日は朝10時に家を出ないといけない自分にとって、「王様のブランチ」イコール本の紹介番組・それ以上でも以下でもない状態で。筑摩書房の松田さんの本のコーナーは読書の指針になります。

さて、そのコーナーで先週松田さんが「2006年ベスト」とまで言い切ったのがこの本。

あらすじは上記ですが、普段は「人が奇天烈な死に方をして、それを奇人変人が薀蓄垂れながら小難しく解く」話ばっか読んでる自分には正直守備範囲外...

...なんですが松田さんの言質を信じるのと、”とある理由”で読んでみよーと思ったり。

”とある理由”に心当たりあるヒトは、自分より先にコレ買って、んで読み終わったら貸してくれw

ISBN:4061824856 新書 森 博嗣 講談社 ￥924

久しぶりの森センセの本だけど...うーん。

それはともかく、今年前半はお気に入りの作家さんの本があんま出なくて読書ペースも下がったけど、先月辺りから沢山出始めて嬉しいーよ。

とりあえず京極なんだけどー。

ISBN:434400664X 単行本 麻耶 雄嵩 幻冬舎 2004/08 ￥1，680
梅雨。大学のオカルトスポット探検サークルの六人は、京都府の山間部に佇む黒いレンガ屋敷「ファイアフライ館」へ、今年も肝試しに向かっていた。そこは十年前、作曲家でヴァイオリニストの加賀蛍司が演奏家六人を惨殺した現場だった。事件発生と同じ七月十五日から始まる四日間のサークル合宿。昨年とちがうのは半年前、女子メンバーの一人が、未逮捕の殺人鬼“ジョニー”に無残にも殺され、その動揺をまだ引きずっていたことだった。ふざけあう悪趣味な仲間たち。嵐の山荘で第一の殺人は呪われたように、すぐに起こった―。大胆にして繊細。驚きに驚く、あざやかなトリック!本格ミステリNo.1の傑作『鴉』から7年。鬼才が放つ新たなる野望。

あらすじどおり、「おいおいこれ本当に麻耶雄嵩かよ」ってぐらいベタな『嵐の山荘』モノ。

最初の登場人物紹介や屋敷見取り図と首っ引きで読んでると、中盤に差し掛かるでもなく明らかに不自然な点が出てくる。一つは館モノにつきもののアレで、もう一つは○○トリックのバリエーションだなー、と気付く。

しかしそれだけじゃなく、○○のもうひとつのバリエーションも組み込まれていて、それがこの話のキモ。ちょっと驚いたがあとで会話と地の文を読み返すと...おお、スゲ。2つの○○トリックを同時に行い、なおかつフェアに記載するってのはホネだと思う。

ラストは例によって、最後の1ページだけでカタストロフ。さすが麻耶雄嵩。

でも「夏と冬のソナタ」に比べたらキチガイっぽさ（褒め言葉）が段違いで薄くなってるぞ。どうしたことだ。

ISBN:4840115427 文庫 ヤマグチ ノボル メディアファクトリー 2006/06 ￥609

ついうっかり読み始めたこのシリーズももう最新巻まで制覇。

あーしっかり出版社に踊らされとるなー。ちなみに主なラノベのアニメ化前／後での発行部数は
http://nuruwota.blog4.fc2.com/blog-entry-952.html
こんな感じらしい。ハルヒやっぱり段違い平行棒。
　
　
　
＊さてゼロ8巻ですが、7巻ラストでサイトは見方とルイズを逃がすため7万の敵軍相手に単騎で突っ込み、瀕死の重症...つうか死にました。この辺でもうアレですよ！アレ！

まぁそれはそれとして、1巻の微妙さ加減が嘘のように良くなっていったねコレは。すれ違いを繰り返しつつもクライマックスでヒロインの大ピンチに駆けつける主人公とかもう王道過ぎて痺れます。

主役以外だと、サイトに剣の稽古を付けてやったり喋る魔剣相手に晩酌するアニエス隊長が今巻は良かったかも

ISBN:4061824880 新書 岡崎 隼人 講談社 2006/06/07 ￥1，200

彼女からのプレゼント――それは両足のちぎれた赤ん坊……。連続乳児誘拐事件に震撼する岡山市内で、コインランドリー管理の仕事をしながら、無為な日々を消化する北原結平・19歳。自らが犯した過去の罪に囚われ続け、後悔に塗れていた。だが、深夜のコンビニで出会ったセーラー服の少女・蒼以によって、孤独な日常が一変する。正体不明のシリアルキラーウサガワの出現。過去の出来事のフラッシュバック。暴走する感情。溢れ出す抑圧。一連の事件の奥に潜む更なる闇。結平も蒼以もあなたも、もう後戻りはできない!!
第34回メフィスト賞受賞作!


読み始めてすぐに胸糞悪くなりイヤ〜な予感がしたものの、もの凄い勢いで最後まで読みきってしまったあたり「読ませる」ものはあると思う。

読んだ人のほとんどが思い浮かべる感想は「舞城王太郎っぽい」「ユヤタンっぽい」だと思うし自分もそう思った。ただあれらよりインパクトとか読後の爽やかさ（信じられないことに舞城はあんだけ人殺しまくる話のわりに読後感が抜群に爽やか）は全然無い。それはしょうがない。

まだ19歳（しかもV6の岡田似のイケメン）ということで今後に期待。

ISBN:4840233039 文庫 杉井 光 メディアワークス 2006/02 ￥620

なんだか薦められたようなので1巻から読んでみた。
1巻ではまだオレ好みのシチュは出てこないっぽいですね。

「巫女」とか「黒髪・幼女・盲目清楚の3人娘」とか萌え狙いっぽい立ち位置を作りつつ、展開がソレを軽くあざ笑うかのように崩していくのはほほぅと思いました。

おかげで某作品のユズハを「もしかして...腹黒？」と戦々恐々としながら見るハメになった俺原作未プレイ派。

ISBN:4061824759 新書 浦賀 和宏 講談社 2006/06/07 ￥1，040

正直コレはありなんだろうか、と思った。

半分過ぎるまで事件は起こらんし、文章の95％は主人公の東京大学物語的なモノローグだし、やたら「萌え」批判というか西尾維新（？）攻撃してるし、いつものカニパンは無いけど代わりに別の不快な描写はあるし、メタな部分があるのにそれについての説明無いし...

まぁラストシーンが帳尻合わせのようにさわやかなのでそれでチャラに...される訳ないだろうが。

ISBN:4061823981 新書 二階堂 黎人 講談社 2004/10/07 ￥1，890

気が付けばまたまたミステリを数ヶ月読んでない（相変わらずラノベは読みまくり）な日々。幸い（？）お店もお盆ボンボ〜ンな状態なので図書館でこれ借りてみた。

2年前の書だが、一応禿人先生の本は追っかけてるしなので。地雷率高いけど...


＊しかしそんなときに限ってヤル気がコンセントレート→マハブフダイン状態で、売切シングルの補充とかちまちましたコモンの価格改定とかに勤しんでしまう也。

ISBN:4870317427 単行本 アニメスタイル編集部 スタイル 2006/07 ￥2，940

映画館で同じ映画を二度見る、なんて今まで一度も経験したことなかったけど、とうとうリピーターになってしまった。上映館が限られてる本作だけに、自分が東京都民である事をマジ感謝した。

二度目ということでストーリーは判ってるので、隣に座った人の表情とか観察する余裕もあった。笑いどころとか泣き所でけっこう反応あっておもろかった。

細かい伏線も確認できた。
例えば、最初の美術館のシーンで例の絵の「修復中」と貼られたガラスケースに千昭の姿が映っていたり、未来に跳んだときだけ前転だったり、最後の1回に関する謎（http://b-kan.at.webry.info/200607/article_8.html）だったり。

あとタイムリープ回数表示が真琴は上腕裏で千昭は手首にあったのは、クルミを押し付けた場所にアレが出てくるからだと気付いた。

クライマックスシーン、一旦別れて歩き出して、振り返るともう千昭が消えてて真琴が泣き出しちゃったあと千昭がまた現れるんだけど、どっかで「あれは一旦未来に帰って、再チャージしたあと真琴を泣き止ませるために戻ってきた」と解釈してて斬新だと思った。まぁそれだと服とかが同じだったり、千昭が歩いてくるカットが不要だろ？とかあるけどそう考えるのも悪くないかな、と。


＊この映画はどこぞの「命を大切に(ry」みたいな明快なメッセージがないぶん、見る人によって違うメッセージを好きなように読み取れるのだと思う。

それは時間の付加逆性から「今を大事にしよう」だったり、「あなたが得している分他の誰かが損しているんじゃない？」という魔女おばさんの言葉だったり、ラスト近くの攻介の「ちゃんと前見て走れ！」に二重に込められたメッセージだったり。

直面している問題の中で、暗喩に富んだこの映画が何らかの示唆を与えることができたのなら、それは俺にとっても喜ばしいことだと思う。

ISBN:4062633760 文庫 我孫子 武丸 講談社 1996/11 ￥600
永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。

かまいたちの夜×3発売記念ということで、我孫子氏の最高傑作と個人的に思ってるこの書について触れてみたいと思います。

これを読んだのはもう10年以上も前のことですが、その結末は当時のミステリ齧り始めの自分にはたいそう衝撃的でした。最近読んだ人には「どっかでみた」「ありがち」と言われることもあるようですが、それはこの100数年余りの間にこのテの作品が多く書かれるようになったからで、その意味でもこの作品はエポックと言えるでしょう。

その内容がゆえに、多くを語るのがネタバレになってしまうもどかしい作品であります。

ISBN:4915512576 単行本 松岡 佑子 静山社 2006/05/17 ￥3，990

今更だけど読み終わった。

ハリポタはジュブナイル向けファンタジーの仮面を被りつつ、実はそこいらのミステリよりミステリしてるため今回もミステリとして読んだ。
今回の「謎」は「謎のプリンス」が果たして誰か？なんだけど、さすがにヒントが多かったので大多数は予想が付いたことだろう。

ラストの、7巻に向けての展開は王道。
それゆえに反って7巻の展開がある程度読めてしまう（スネイプは究極のツンデレだとか、ダンブルドアの××だとか）が、さらにその予想の斜め上を突いてくれることを期待。

ISBN:4396207972 新書 石持 浅海 祥伝社 2005/05 ￥880
久しぶりに開かれる大学の同窓会。成城の高級ペンションに七人の旧友が集まった。(あそこなら完璧な密室をつくることができる―)当日、伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。何かの事故か?部屋の外で安否を気遣う友人たち。自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた。しかし、参加者のひとり碓氷優佳だけは疑問を抱く。緻密な偽装工作の齟齬をひとつひとつ解いていく優佳。開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった…。

昨年の「このミス」2位など賞関係で凄かったので、図書館に予約を入れて借りれるまで半年もかかったよ。

...さて内容ですが、倒叙モノでホワィダニットでロジカルで息詰まる心理戦...を期待するとちょっと肩透かし喰う。言われてるほどロジカルじゃないし犯人も探偵も頭良くない。

動機関連は、あれはあれでいい気もするが、やっぱあんな理由で殺されちゃたまんないなーとは思った。

ISBN:4915512576 単行本 松岡 佑子 静山社 2006/05/17 ￥3，990

約1名に向けて期待age

ISBN:4044292019 文庫 いとう のいぢ 角川書店 2003/06 ￥540

まぁあんな第1話見せられたら原作が気になるじゃないか...ということで第2話視聴後に入手。つかウチの店はこのテの本を借りる相手に困らない。素晴しい。ブラボー。それはさておき。

アニメから入ったので、3章以降の急展開にちょっと吃驚。
主人公の一人語り視点だったり、トンデモSFだったりするところが昔好きだった新井素子っぽくて楽しめた（まぁ、テイストは大分違うが）

アニメの先の話読んじゃったのはこの場合失敗かな〜と思いつつ、明日は彼奴から2巻以降をせしめようと誓うのであった。

ISBN:4396208057 新書 上遠野 浩平 祥伝社 2005/10 ￥880

“魂の一滴（ソウルドロップ）”と引き替えに命を奪う！
神出鬼没の謎の怪盗 vs 異能の私立探偵
話題沸騰！　好評“ソウルドロップ”シリーズ第2弾！
〈あの事件は終わっていない〉
私立探偵・早見壬敦（はやみみつる）は、禿猿山（はげざるやま）で出会った不思議な人物から謎の言葉を聞く。杜名賀（もりなが）家の離婚問題調査で長女の過去に興味を抱き調べている時であった。その山は、二十年前一家を襲った惨劇の舞台だったのだ……。一方同じ頃、杜名賀邸では庭が爆破され、怪盗“ペイパーカット”の予告状が発見される。神出鬼没の怪盗を追うサーカム保険の調査員（オプ）伊佐俊一（いさしゅんいち）と千条雅人（せんじょうまさと）が現場に急行、生命と同価値（キャビネッセンス）のものを奪う怪盗の標的が早見ではないかと不安を抱くが……。

至って普通の上遠野節炸裂。プロット的には本格ミステリに見えなくも無いが、そんなことは関係なく話は淡々と進む。

で上遠野作品だから「ブギー・ポップ」世界と何らかリンクしてるのも必定ではあるのだが、今回「寺月恭一郎」とか「早見がMPLS」とかいう展開になって何だか萎えていた。なんでだろう。

ISBN:4840231206 文庫 上遠野 浩平 メディアワークス 2005/08 ￥599

内容（「BOOK」データベースより）
人ってどうして苦労するのかなあ?辛いこととか苦しいことって、何が理由なんだろう―私、浅倉朝子は普通の女子高生だったんだけど、でも私の人生は、奇妙な男の子と出会ってすっかり変わってしまった。統和機構とか、合成人間とか、特殊能力とか―得体の知れないものが殺し合ってる、こんな殺伐とした世界なんて、私は全然知らなかった。でも知ったからって、それが答って気もあまりしなくて…彼はどうなんだろう。謎の“カーメン”の正体を見つけられたら、そこで彼の旅って終わるのかな―強敵たちとの死闘、理不尽な混迷、そして過去との再会を経て、遂に少年は目的の地に辿り着く。厳しい試練の果てに、ピート・ビートが見つけた答とは…。

貸出期限ギリギリで読了した本を返しつつ「なんかメフィスト系で新刊奴ねーかなー」と書架を物色してたら、コレと「ソウルドロップの幽霊体研究」「メモリアノイズの流転現象」を発見。
未読の上遠野作品が3冊も予約無しで借りれるのは行幸っていうかありえないので即確保。ミステリモノはまた今度〜

さて今作だが、相変わらず最近は風呂敷広げるだけ広げて伏線回収放棄だし、”サイキョー”の大安売りだしでFSS化が激しい。

しかし場面場面では惹きつけられるとこも多く、「お姫様抱っこで戦闘、しかも手は握ったまま、でもそれが最強形態」とか「鈍感同士の夫婦漫才」とか。一応今作の謎の核心「カーメン」については（難解ながらも）解答を出してるし、その副産物として合成人間のアイデンティティに関わる重要な秘密も明かされたし。

しかし最後の最後で度肝抜かれるね。

ISBN:4087753530 単行本 西澤 保彦 集英社 2005/10 ￥1，995

出版社 / 著者からの内容紹介
秘めた欲望が蠢きだす…鬼才のミステリ長編！
触れれば死ぬ。悲惨な死を遂げた女性たちの葬儀に現れた、謎めいた美少年の正体は？　人々の秘められた欲望と謎と血が渦巻く、めくるめく迷宮世界。書き下ろし長編ミステリ。
内容（「MARC」データベースより）
謎の美少年を1日だけ独占できる「透明人間クラブ」。だが見るだけで決して触れてはならない。孤独と狂気を携えた客達の思惑が入り乱れる中、殺人事件が…。

2006年最初に読んだミステリはフェイバリット作家のひとり、西澤保彦。

「聯愁殺」と似たテイストの救いの無い話で、登場人物の誰一人として幸福なエンドを迎えられないという、読んだ後に『すっきやさわやか』な気分に浸れる一冊。