ISBN:4829118423 文庫 賀東 招二 富士見書房 2006/07 ¥546

3篇のうち2本はオッサン主役の重たーいお話。ソースケの生い立ちなどの謎がちょっとだけ解明。

3本目はいつもの短編のノリ。でもこの後の展開を知っているだけにキツイものがあったりなかったり。

*GCB、この2週間の間に旧カード(2.00新規カード)が暴落。うっかりしとったわぁ...

いつも致命的な買取持ち込まれてから気付くんよね...
ISBN:4061825143 新書 森 博嗣 講談社 2007/01/12 ¥924

ターニングポイントというか、S&MシリーズやVシリーズの主な人々が総出演。紅子さんや保呂草まで出てくる始末で。

おかげで海月以下3名の薄っすい事。

そして毎回中途半端に(主に、動機が解明されないことによるミャモヤ)事件が解決するのだが今回は「どうやって地上10M以上の高さで首を吊ったのか?」という謎を...解かない...

いちおうキャラ同士の会話で「なぜ人は事件が起こったとき、犯人の動機を知りたがるのか?」をディスカッションしているので「あえて」動機は描かないってのは狙ってるんだけど。でもなー。
ISBN:4396208235 新書 上遠野 浩平 祥伝社 2006/11 ¥880

人気爆発!「ソウルドロップ」シリーズ第3弾
奇妙な脱獄囚と家出少女の冒険!
生命と同じ価値の物を盗む“謎の怪盗(ペイパーカット)”を騙(かた)り、大金詐取(さしゅ)を計画する二人の運命は!?
家出中の少女・西秋有香(にしあきゆか)は双季蓮生(そうきはすお)という不思議な老人と出会い、詐欺罪で服役中の有香の父が計画していた犯罪を実行することになった。「生命と同等の価値のあるものを盗む」と書かれた謎の怪盗ペイパーカットの偽造予告状を使い、保険会社から補償金を騙(だま)し取ろうというのだ。双季は保険会社の調査員(オプ)伊佐俊一(いさしゅんいち)と千条雅人(せんじょうまさと)に接触。しかし、双季の正体は強大な権力を持つ東澱(ひがしおり)家に命を狙われる脱獄囚であった。外人傭兵(ようへい)、ベテラン刑事も双季を追う中、やがて彼の哀しい過去が明らかに…。


今回のキーマン・双季蓮生のキャラ造詣がキモですね。ソレ以上でも以下でもないという。
ISBN:4061825070 新書 西澤 保彦 講談社 2006/11/08 ¥945

連続する念動力による不法侵入と引っ越しの奇妙な関係、血飛沫の記憶と母の幻影に悩む女性、男の手料理が招く連続怪死、辻褄があわないことばかりの豪邸内殺人、男子学生が巻き込まれた拉致女性が密閉空間にテレポートしてくる奇怪な監禁事件―五つの超常事件を神麻嗣子、神余響子、保科匡緒が緻密な論理で解き明かす。「論理の神業」続出の大人気シリーズ最新刊。

フェイバリット作家の一人、西澤保彦のチョーモンインシリーズの最新作。

なんだが、レギュラー陣の登場がえらく少ない。ほとんど狂言回しとかそんなレベルで、能解警部に至っては全然登場しないとかもー...

トリックも、他愛なかったりバレバレすぎたりでいつもの『論理のアクロバット』ぶりが見られない。うーん残念。
ISBN:4840233845 文庫 上遠野 浩平 メディアワークス 2006/04 ¥557

読もうと思って気が付いたら一年前だった。放置も甚だしいな。

久しぶりに読んだブギーシリーズだが、ヒロインの女の子が能力暴走するトコがまんま邪気眼、ヒロインと対になる女性の能力がエターナルフォースブリザードだったときは本気で読むのやめようかとすら思った。よくよく思い返せばシリーズの最初ッからこんなノリだったと気付いて事無きを得たが。

お話のほうは第1作と良く似た構図で、ブギーは主人公らと敵対する格好。タイトルの通りホントに不寛容だった。

つーかジンクスショップでせっかく話が佳境に向けて動き出したと思ったのに、また脇道にそれるのは勘弁してつかぁさい。
ISBN:4062836092 単行本 奈須きのこ 講談社 2007/01/10 ¥1,365

叙述トリックをやりたかったんだな、とは思った。

2話とか3話はそのへん考えられてる。場面転換とか文体でちょっとわかりづらいけど。

ただそれ以外は、色々とまぁ、アレだと思った。
ISBN:4061825097 新書 take 講談社 2006/11/08 ¥1,260

「零崎一賊」―それは“殺し名”の第三位に列せられる殺人鬼の一族。二つの通り名を持ち、釘バット“愚神礼賛”ことシームレスバイアスの使い手、零崎軋識。次から次へと現れる“殺し名”の精鋭たち。そしてその死闘の行く末にあるものは一体!?新青春エンタの最前線がここにある。

戯言シリーズの外伝の外伝、みたいな。主役の軋識はゲストに喰われまくり。

しかし萩原子荻、クビツリではいーちゃんの本名に動揺したスキにジグザグしちゃう程度のキャラだったのに、後付でどんどん強キャラになっていくさまはFSSのデコースを髣髴とさせる。

あと暴君はいーね、うん。
ISBN:4104541044 単行本 三浦 しをん 新潮社 2006/09/21 ¥1,890
高校時代、名ランナーとして活躍しながら陸上界から離れ東京の寛政大学へ進んだ走(かける)は、4年生の灰二からボロアパートへの入居を勧められる。灰二の野望は、この竹青荘に住む陸上未経験者が大半の10人で、翌年の箱根駅伝を目指すことだった――

最近陸上競技を題材にした小説がブーム(?)とかで、「一瞬の風になれ」と同時期に出たそれらの本を紹介した書評が昨年の秋に朝日に載ってた。そこで知ったのがこの本。

図書館に予約入れてみたら脅威の80人待ち。守備範囲外なので知らなかったが、この作者さんって直木賞受賞者で、これがその受賞第一作だったんね。

導入部なんだけど、最初の走とハイジの出会い、そして10人中7人が陸上未経験なのに2〜3ヶ月の練習で全員が5000を17分切るとか、ありえねー展開ばっかりでちょっと引いた。まぁ「一瞬の〜」読んだあとなのでなおさらリアリティのなさを感じたというか(あっちはあっちである意味ファンタジーだがw)

しかしここで「エンタメなんだし」と気持ちを切り替え、そして試合描写が多くなるにつけ話は盛り上がって来て没入度も増す。そしてクライマックスの箱根駅伝のシーンに突入する。

クライマックスといいながら、実は箱根の試合描写は本書の4割ほどとかなりの部分を占める。しかし10人の走者が襷を繋ぎながら、それぞれ過去の回想をしたり自己の内面と向き合ったりで物語的に飽きさせない。読み進める速さは前半の5割り増しぐらいだったと思う。

それにしても「一瞬〜」も本書も、100mやマラソンでなくヨンケイ・駅伝をメイン題材にしてるのは、キャラをたくさん描け、またバトンや襷を繋ぐという行為自体がドラマに満ちているからなのだろう。

そんなわけで引き続き某タンにもオヌヌメ。
ISBN:4087804399 単行本 小畑 健 集英社 2006/08/01 ¥1,365

「星降り山荘」経験者の俺にはこんなオチなんともないぜ!


と壮絶なネタバレは置いといて。


西尾維新読み慣れてる自分には「あー、いつものいーちゃんだなー」と普通に楽しむことができましたが、本書で初めて西尾維新に触れたデスノ好きな人(意外と多い)には不評のようだ。まーわからんでもないが。

Fate/zero(1)

2007年3月2日 読書
やっと読めた。

最初、全4巻と知らなかったんで「こんな大風呂敷広げて1冊で収拾つくのか?」とかいらん心配したり。
2巻が3月とか漏れ聞いたんでよしなに>誰かさん


*セイバー組
セイバーを初めて見たときの切嗣のリアクションが楽しみだったんだけど、回想という形でちょっとしかななかったのは残念。でも十分期待通り。

*ライダー組
今回一番オイシイ組。
ライダーの胸を半泣きでポクポク叩くシーンが(生暖かく見守るアイリス込みで)ドツボ。

*アーチャー組
「うっかり」は家系だったのカー

*ランサー組
アーチボルトっつーとOG2のしか浮かばない俺

*キャスター組
stay night発売前に、公開されたキャラデザから「セイバーの真名ってどーせジャンヌダルクだろ?」というミスリードがあったがその伏線がここで生きるかー。

*バーサーカー組
今回真名が判らなくて、自分でも推理しつつ英雄・神話時点なぞ調べたがピンと来る人がいないので考察サイト見てみた。
...それか〜!盲点(?)だわ。でも確かに絵面想像してみるとギル様の天敵だわ。

つーことでくどいよーだが2巻が出たら速やかに以下略
ISBN:487692581X 単行本 佐藤 真紀子 教育画劇 ¥1,470
中学入学を目前に控えた春休み、父の転勤で岡山の県境の街に引っ越してきた巧。ピッチャーとしての自分の才能を信じ、ストイックなまでにセルフトレーニングに励む巧の前に同級生の豪が現れ、バッテリーを組むが…。


「一瞬の風になれ」の書評を読むと、対比としてその名が挙がることが多かったのがこの本。
以前にも何度か評判は聞いたことがあったし、3月には映画も上映するみたい(http://www.kadokawa.co.jp/battery/)なので、いい機会だから読んでみた。

「一瞬〜」との対比で言えば、あちらは明確な悪役や嫌悪感を抱かせるような人物は出て来ず、ひたすらさわやかで一種のファンタジー。
こちらは主人公の性格からしてエゴの塊で周りとの衝突も絶えず、大人たちはみな子供らの気持ちをわかってくれず話は息苦しい。

どっちが好きかって言われたら圧倒的に「一瞬〜」のほう。
正直中盤までは「なにこの主人公...」ってカンジで読むの辛かった。自分の年齢的に主人公よりその親のほうに近くなっちゃってるから、そちらのほうの考え方が現実的で同意できるってのがある。

読み進めていくうちにだんだん物語世界に没入して、主人公にもある程度共感できるようにはなったけどなんかなぁ。2巻以降の展開で、チームの輪を通して人間的に成長する展開だとは思うんだけど。


*そんな作品の一服の清涼剤は青波。刺々しい登場人物しないない中で、潤滑油のようにほんわかして和ませてくれる。コイツがおらなんだら、途中で挫折したかもね。

しかし映画の予告を見たら死亡フラグにしか見えない場面が...主人公の人間的成長のきっかけのためとか言って、死んじゃうのかなぁ...
ISBN:4062136813 単行本 佐藤 多佳子 講談社 ¥1,575
超ハードな冬季練習で力をつけた新二たちは、いよいよ三年になり、最後のインターハイを目指す戦いに臨む。新一年生の鍵山は、有望なスプリンターなのだが、かなりの問題児で、仲のいい春高陸上部も微妙なムードになる。部長として部とリレー・チームをまとめようと新二は頑張る。新しいスタイルのバトンパスの練習に明け暮れながら、インターハイ予選のレースが始まっていく。地区、県、関東、どこまで行けるか、どんな勝負ができるか。ぐんぐん力をつけていく新二に見えたものは…?

1〜2巻で成長やら練習を描いて、いよいよ3巻では試合シーンが大多数を占めるようになる。
一人称ならではの短いセンテンスで、しかも高校生の視点であるからしてボキャブラリーもそう豊富でないという枠組みでありながら、試合シーンの描写の臨場感がたまんない。
なにしろこの主人公の場合、大抵はライバルやらチームメイトに負けるので「どうせ主人公補正で勝つんだろ?」とか安心出来ない分、ハラハラする。

最後のヨンケイはその集大成で、ページをめくる手がこんだけ震えたのはホント久しぶりだったよ。読み応えあった。

3巻で好きなシーンは、ネギが朝練でコーナーの練習をするくだりと、ヨンケイの走者にネギを推す新二らに対してのネギの選択のシーン。ネギまじでいいキャラ。どっかの魔法先生とはおおちg(ry

ラストはすごくいいところで終わった気もするけど、やっぱり部活引退か高校卒業までは見たかった気もする。せめて***ー**ぐらいは...あと谷口さんとの決着とか健一の復活とか放り投げすぎだよ...
でも続編とか出しちゃだめなんだろうな、きっと。


*そんなこんなのこの本ですが、直木賞取れなかったけど本屋大賞のほうにノミネートされたっぽい。下馬評だと1位は堅いっぽいが劇団ひとりの本がもしかするかも...
が、「どうせ売れるなら1冊より3冊のほうが儲かる」と書店の人が思ったらコレになるでしょうw

あとマガジンスペシャルで春からコミック連載らしい。こっちもチェックしたい。
ISBN:4062136058 単行本 佐藤 多佳子 講談社 ¥1,470
新二たちは二年生になり、後輩たちが入ってくる。大好きな先輩たちとの別れがある。新二のスプリント・フォームもさまになってきて、ぼちぼちいい試合ができるようになってくる。連もだいぶ真面目になり、天才の本領発揮と思われた矢先、思わぬ落とし穴が…。恋愛禁止の部内で、ついに真剣になってしまった新二の片思い。その彼女と出かけたプロになった兄のサッカーの試合。兄や連のような天才に少しでも届くために新二ができることは何か? その努力の成果が見えてきた秋の新人戦の時、ショッキングな事件新二を襲う。

健やかに、まっすぐに成長してきた主人公だけど、この巻でアクシデントが襲う。
俺の好む話(新本格系とか)ってヒネたのが多いんで非常にヤキモキしたが、そこは青春小説なので爽やかにカタルシスを持ってくる。素晴しい。

シーンで言うと、新二が守屋から部長の座を受け継ぐところと、連が新二を見つけて追いかけて、ちょうど1巻の夏合宿シーンと逆になるところが印象的。
ISBN:4061824961 新書 篠田 真由美 講談社 ¥1,019
長崎県の孤島波手島。明治の教会が残る無人の島で、女たちが火に焼かれて死んだ。宗教的理由による集団自殺か、はたまた。事件性を疑う私立探偵に乞われ、桜井京介は現地へ向かう。その頃蒼はカルト教団に入信したまま戻らぬ友人を救出しようとしていた。ふたりに迫る悪意の罠。狂気の炎が再び空を焦がすとき、京介は蒼を救えるのか。

建築探偵シリーズの12巻。
あとがきによると、あと3巻でシリーズ完結らしい。

以下は一応ネタバレなので未読の方はご注意を。


ミステリ読む人はこのシリーズがどんなのか知ってると思うので今更説明しないが、今回もトリックとかは二の次で、

・男子禁制の教会に蒼が入ることを許された理由を聞かされたときの蒼のリアクション
・教会潜入時の尼さんコスプレ
・クライマックス、炎に包まれた館で死を覚悟した蒼の前に颯爽と現れる京介
・エピローグ、入院した蒼を見舞う親友・兄代わり・親代わりの3人が「やっぱお前一人暮らしだと危ない」と蒼同居争奪戦を繰り広げる中に現れ全部掻っ攫っていく京介

を楽しむ内容となっております。さすがだ。
ISBN:4062135620 単行本 佐藤 多佳子 講談社 ¥1,470
あさのあつこの『バッテリー』、森絵都の『DIVE!』と並び称される、極上の青春スポーツ小説。 主人公である新二の周りには、2人の天才がいる。サッカー選手の兄・健一と、短距離走者の親友・連だ。新二は兄への複雑な想いからサッカーを諦めるが、連の美しい走りに導かれ、スプリンターの道を歩むことになる。夢は、ひとつ。どこまで…

「王様のブランチ」の松田さんが「2006年ナンバーワン」というのを聞いてから約三ヶ月、ようやく読めた。

その間に136回直木賞候補に選ばれたり(今回は「該当作なし」で直木賞は選出されず)色々有名になっていた。なんだかなー、そういうご大層なお題目付けられると気が引けちゃうけど。


しかし内容は想像以上、期待以上によかった。


何かにひたむきに打ち込んでる少年少女の青春小説を読むと胸が締め付けられるような感覚になるんだけど、それはやっぱり憧憬や懐古の念なんだろう。まぁわりと、そんなに悪くない高校生活を送ったつもりではあるけれど、もっと熱血したかったとか青春したかったとかの思いは少なからずあるわけで。この本における主人公と友人・先輩・先生らとのちょっとした会話や心理描写でそういう思いに強く胸を揺さぶられるのだ。

主人公の一人称語り視点で全編話し言葉だったり、「アシンメトリーなヘア」「ドクロのTシャツ」「BUMPを聞きながら」「合宿の布団の中でDS」など若者風俗にも腐心してる点はいいが、ちょっと取り入れすぎで数年後に読んだときどうなの?と思ったりしたが重箱の隅だろう。
ISBN:4061824384 新書 京極 夏彦 講談社 ¥1,680

ようやく読了。三週間がかり。

今回の話は、関口と榎木津が「らしくない」言動を取るところがキモなんだろう、とキャラ視点的には思った。

ミステリ的に言うと、構造は「絡新婦の理」に似てるがあれよりずっと行き当たりばったりな犯行だった。「ひとごろし」と「ひとごろしでない人」のボーダーとか、そういうのがテーマっぽい。
ISBN:4091883036 コミック 日本橋 ヨヲコ 小学館 ¥590

うっかり1巻を渡されて、気付いたら全3巻を貪るように読破。ストレートでヘヴィ。

内容は一言で表すと「現代版まんが道」で、オビの紹介文書いてるのが「燃えよペン」「編集王」「まんが道」の人だったりするし。

セリフまわしのひとつひとつがクサいんだけど、そこに至るまでの人物の掘り下げが深いんで重みを持って響いてくるっていうか。
3巻で、皆でマンガ書いて飯喰ってるときに昔の家族団欒の風景を思い出して「...楽しいね...」ってつぶやくシーンにやられすぎた俺。
ISBN:4334076327 新書 山田 正紀 光文社 ¥840
各国が領有権を主張している南洋の島、海鳥諸島。その中のひとつ、鳥迷島に、右翼青年のグループ『日本青年魁別動隊』が上陸した。しかし、上陸早々、仲間のひとりが断崖から突き落とされた!わたしは、わたしが突き落とすのを見ていた…。グループの人間が次々と惨劇遭う。仕掛けているのは、わたしなのだろうか。わたしも、殺されるのだろうか。魔術的な筆致で紡がれる、傑作本格推理長編。


あとがきによるとセバスティアン・シャプリゾの「シンデレラの罠」のオマージュ、ということらしい。つってもよっぽどのミステリヲタじゃないと知らない(ていうか俺も知らなかった)と思われる。が、その作品の中の「私はその事件の探偵です。証人です。被害者です。その上犯人なのです」というフレーズならば軽度のミステリ読みでも知っているんじゃなかろうか(ていうか自分)

本書はその「一人四役」を踏まえて、序盤で起こる転落殺人を主人公が目撃し、しかも突き落としたのは自分で、その謎を解く...なお話。

掴みとしてはいいんだが...登場人物たちが錯誤の状態にあったりとか、しかもその原因が**だとか、あと転落殺人の真相とか、トリック的にはかなり「はぁ〜」なカンジだった。
ISBN:4061824988 新書 森 博嗣 講談社 ¥924

始まりは珍しくミステリっぽく魅惑的な謎を散りばめ、終わってみればいつものGシリーズというか。

今回は一連の事件とはイレギュラーであること、殺人にちゃんとした動機(というのもおかしいけど)が存在すること、トリックも割とマトモ(であるがゆえにミエミエ)だったりと、なんとなーく変化持たそうってのは見えるんだけど、結局最後の「海月君が謎を解きました」→「実は犀川先生がもうとっくに解いていました」でブチ壊し。

一応他にも、萌絵の死生観の変化とか哲学的な見所もあるんだろうけど、結構どうでもいい。
ISBN:4396207913 新書 柄刀 一 祥伝社 ¥880

柄刀 一という費とはわりかしと物理トリック系の人で、島荘言うところの「冒頭の魅惑的な謎」を作り出すことにかけては上手いほうだと思う。

問題はその畳み方で...

トリックがショボいとかいうわけじゃなく、見せ方とかがちょっとマズいんだと思う。惜しい。


*ところでこのシリーズは表紙&挿絵が緒方さん。それだけでも価値があるというもの。

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