ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど…ほんの少しずつ、しかし確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。小鳩君と小佐内さんの再会はいつ―。


小佐内さんマジパネェ!

上巻だけで評価すると間違いなく★★ぐらいなんだけど、下巻では小佐内さん無双な上に瓜野君フルボッコなので溜飲が下がりまくり。副主人公と言ってもよかったのに、エピローグではほぼ描写が無くて。あったとしても悲惨な心の闇を羅列されるだけかもだけど。

しかしホント小佐内さんは黒いな!ラスト一行には震え上がった。
美波から衝撃のキス!驚きのあまり呆気に取られる明久。現場にはFクラスの面々が現れ、すぐさま臨時査問会(公開処刑と同意語)が執り行われることに!しかしそんな彼らをよそに、他のクラスはFクラスに対する武力制裁の準備を進めていた!最大のピンチを切り抜けるため、雄二が繰り出す作戦とは?そして作戦遂行のため、ペッタンコはゆれまくるのだった―!ラブコメ全開、待望の第4巻。

最初のころは否定的だったんだけど、3巻以降はすっげぇ面白くなったような気がする。主人公のイジり方に黄金パターンができてソレがツボっているからだろうか?

ともかく、3巻ラストのヒキから番外編短編集の3.5巻を経て4巻を手にするまで長かった...色々あって。すごく気になってたのに。
あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月には揃って初詣。ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。―それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい…シリーズ第三弾。


NTR!NTR!

小鳩君と小左内さんがくっつかずそれぞれに彼女彼氏が出来る!という展開にいきなりノックダウンされました。なんていうかその...ヤなんでそーいうの...

そして小左内さんの交際相手で小左内さんパートの語り手・瓜野君がなんというかいけ好かない。スクープのために事件解決をあえて引き伸ばす悪徳新聞記者、でもう俺の脳内には刷り込まれた。

ガッカリ感は強いけど下巻読み終わるまで評価は保留。
世界には知るべきでない知識がある。だが人はあらがいようもなくそれに惹かれ、いつしか境界を越えてしまう。現世の理と因果の律を狂わせる危険な書物“幻書”。迷宮図書館ダンタリアンの書架は、幻書を封印するために在る―。ある屋敷に招かれたヒューイとダリアン。祖父が遺した蔵書の鑑定を求める令嬢エステラ、その陰に見え隠れする血塗られた秘密…全ては1冊の本のせいか、それとも―。悪魔の本と少女の冒険、第2弾。

1巻ラストエピソードに登場した焚書官は影も形も無く、代わりに2巻ラストエピソードに2人目の書架少女が登場。これはアリスゲーム始める気マンマンですね。



*そのラストエピソードは複葉機と三翼機のドッグファイトがメインとゆー「オマエもか!」な内容で。どうしてラノベ書きは軍オタとかガンマニアが多いんだろう。
朽ちぬ死体と生きる屍、アルプスに轟く獣の咆哮…。世界各地で次々と報告される「奇蹟」の真偽を判定するため、若き奇蹟審問官クレメンスはヴァチカンより放たれた。怜悧な論理力と深き信仰心をもった彼が「超常現象」に挑む!

柄刀さんの作品はプロットとかは派手っぽいのに、読んだ後の印象は「良くも悪くも地味」っていうか。そのへんがイマイチメジャーにならない由縁だと思う。

今回の短編集も不可能犯罪ばっかなのに、ヲチやトリックが「それはないだろうw」とか「偶然にも程があるだろうw」みたいなのばっかで。いや決してロジカルじゃないわけじゃないんだけども。

そのあたりは宗教色を強める事で何とかしてる...んだろうか。
ヒューイは、かつて所領の半分を1冊の稀覯本と引き替えにしたほどの蒐書狂である祖父から、古ぼけた屋敷とその蔵書の全てを引き継いだ。条件は一つ、“書架”を引き継げ―と。遺品整理に屋敷を訪れたヒューイは、本が溢れる地下室で、静かに本を読む少女と出会う。漆黒のドレスに身を包み、胸に大きな錠前をぶら下げた少女ダリアン。彼女こそ、禁断の“幻書”を納める“ダンタリアンの書架”への入り口、悪魔の叡智への扉だった―。

ダークファンタジーということで、乱暴にカテゴライズすると「キノの旅」みたいな短編後味悪エンドモノ、というとこだろうか。ホラーというかグロ分も程々。1話はなんとなくオチの察しはついてたけど部位的に想像以上にグロだった。

ヒロインの能力がドラえもんの四次元ポケットなみに便利なのでちぃっとピンチ感が薄かったかもだけど、まだ1巻なので今はこれぐらいでいいのかも。

ラストのエピソードに出てきた焚書官がライバル、ということになるのだろうか。主人公とどういう敵対関係なのかによって雰囲気変わると思。
草薙護堂は祖父の友人を訪ねるため、イタリア・サルデーニャに来ていた。その地で不思議な少年と出会い、友誼をはぐくむ護堂。だが、そこに現れた魔術師を名乗る少女・エリカとの出会いによって「神」にまつわる事件に巻き込まれることに…。草薙護堂は如何にして神を殺し、魔王となったのか。そのはじまりの物語が遂に明かされる。

また半月ばかし新作TCGが無いんで、読書感想文で糊口を凌ぐしかないんじゃよ...



*というわけでようやく1巻以前のお話が語られた本書ですが、どうにも昨今の「とりあえず時系列シャッフルしとけ」な風潮があんま好きじゃないので別に”謎が遂に!?”みたいな気になれないというか。

ただまぁ、作中における現在でデレ100%なヒロインのツンな頃が見れるのは新鮮っていうか、作者もともとソレが目的で邂逅編すっ飛ばして書いたんだろ?的な描写の力の入れようで。

エピローグのカンジからすると、この過去編は少なくともあと2巻分(VSバアルとVSサルバトーレ)あるみたいだけど本編進めてくれ。アテナさんが出待ちしてるし。
「え~と、憧れてやまない剣と魔法のファンタジーワールドに、来ちゃってる!?いつの間にやら!すっげ!すっげッス!!!」普通の高校生、俺―ユーゴは気付くとプレイしていたゲームの世界に入り込んでいた。しかも、LVは最強クラス。知り合った村娘は超美人。もう元の世界になんかもどりたくな~いくらいウハウハだった、ハズ―ハズですが。美人姉妹の依頼に鼻の下を伸ばして、調子にのってダンジョンクエスト。あれ、で、でもこの世界ってリセットボタンとか、復活の呪文とかってあるんでしたっけ!?「ふぅ、勇者ってのも、けっこう大変なんですけど…」俺たちのクエストの未来は―。

「ソードアート・オンライン」と同時にこの本を貸すとか、P君はわざとなのか素なのか...わざとだろうなぁw 比べるのはダメだと思いつつ、コンセプトが似ているのでどうしても差が目に付く。
読む順番が逆だったら印象も違ったろうに、作中での「死」の重さに関する描写がダンチ。戦闘面もあっちは思い切って「魔法は無し」と割り切っててそれが奏功してたし。

あと友人の魔法使いはひたすらにウザい。

カンピオーネ! 2

2009年6月19日 読書
神を殺し、権能を奪いカンピオーネとなった高校生・草薙護堂。その自称愛人エリカが護堂の高校に留学、護堂との「親密な仲」を公言したことで、媛巫女・祐理や妹・静花も巻き込んで、護堂の平穏な日常は完全に失われてしまった。同じ頃、東欧の魔王・ヴォバンが来日。その目的は祐理!?神殺しが相撃つ熾烈な戦いの幕が、いま開く。

言うなれば京極堂が実際に剣持って言霊を武器にして戦うような戦闘なので、字面で見るとわりかしイイんだけど実際アニメ化とかして喋っているトコ想像するとマヌケっぽいかもw

相手の神の素性を探るのをもちっと歴史ミステリっぽくやればQ.E.D.(講談社ノベルスのほう)みたいになるんだろうけど、そこをザックリと端折って特殊能力で何とかしちゃうのが残念。Q.E.D.といえばあっちは何でもかんでもタタラにしちゃうけど、こっちも何でもかんでも死の神にしちゃう傾向が。

あと、キスシーン長い。そんでもって描写がエロい。エロゲーかよってぐらい濃厚。もっとやれ。
クリアするまで脱出不可能、ゲームオーバーは本当の“死”を意味する―。謎の次世代MMO『ソードアート・オンライン(SAO)』の“真実”を知らずにログインした約一万人のユーザーと共に、その苛酷なデスバトルは幕を開けた。SAOに参加した一人である主人公・キリトは、いち早くこのMMOの“真実”を受け入れる。そして、ゲームの舞台となる巨大浮遊城『アインクラッド』で、パーティーを組まないソロプレイヤーとして頭角をあらわしていった。クリア条件である最上階層到達を目指し、熾烈な冒険を単独で続けるキリトだったが、レイピアの名手・女流剣士アスナの強引な誘いによって彼女とコンビを組むことに。その出会いは、キリトに運命とも呼べる契機をもたらし―。個人サイト上で閲覧数650万PVオーバーを記録した伝説の小説が登場。

プレイしたこと無いけど「.hack」みたいなモンなんだろうなー、という印象だった読書前だったんですが、いやはや。

ネトゲーはFF11を1ヶ月でリタイア、ぐらいの経験しかない自分でもすごく楽しめるっていうか、「あーこんなゲーム/小説の世界に行きてー」と思わせる文章は優れてると認めざるを得ない。あ、デスバトルは死んでもヤですが。

それにしても「《倫理コード解除設定》」のくだりはヤバい。期待させといて朝チュンだったのはさすがにラノベの限界かw
神を殺した者は神の権能を得る。そしてその力を得た者は王者『カンピオーネ』と呼ばれ、覇者とも魔王とも称される。そんな高校生・護堂の求めるものは平穏な日々。しかし魔術師にして自称護堂の愛人・エリカがもたらすのは荒ぶる神との邂逅!?さらには、媛巫女・祐理も護堂に接近!?新たな神話を紡ぐバトルファンタジー開幕。

メガテニストにとってはバルゼブブ=バアルやアスタロト=イシュタル=イシスという「同一の神格」ネタはもはや常識の範疇なんだけど、本書でネタにされているアテナ=メドゥサという説は寡聞にして初耳だった。調べてみたら確かにそーいう説もあるのな。例のイージスの盾がらみで結びつきを匂わせる神話もあるし。そりゃーライダーさんも強いわー。

というわけでウンチク方面やバトル方面(言霊で神格そのものを攻撃する)はわりと気に入ったんだけど、

・流行(?)のシャッフル展開で、アニメでいえば第3話ぐらいストーリーが進んでるところから始まる
・流行(?)のダブルヒロイン制、多分もっと増える

このへんはなんだかもう食傷気味だったのが。

あとイラストはもっとがんばれ。

緋弾のアリアIII

2009年6月8日 読書
大泥棒アリア誕生!?

東京武偵高校、そこは武力を行使する探偵――通称『武偵』を育成する特殊な学校。
Sランクの最強武偵・アリアと、そのパートナーに選ばれてしまった遠山キンジの前に、宿敵・峰理子が再び帰ってきた。
理子は『あるもの』を盗み出すのに協力してほしいと二人に依頼を持ちかけてくるのだが――。


アクション&ラブコメディー第3弾が早くも登場!!


なんつーか、ラノベのご都合展開とからぶ☆こめーにはいい加減耐性付いてて大抵の事は許せるんだけど、コレはどういうわけか許せない。多分、合わないんだろう。

やっぱり「世界を股に掛ける謎の大犯罪者集団」が蓋を開けてみれば女子高生ばっかりでショボいとか、そんな奴らに罪を擦り付けられて獄中にあるホームズ4世のママ(まぁホームズ3世ではないのだろうけど)も相当ショボくないか?とか、倒した敵はサックリ退場させろよ司法取引とか何甘っちょろいことやってんだよとか、なんでいきなり2巻から超能力3巻から伝奇と方向性ブレまくってやがるんだよとか、その辺のグダグダさが合わない原因なんだろうか。

多分一番ダメだったのが理子で、兄殺しに関しては当初から「実は殺してない」って伏線をちゃんと張ってるからいいとしても、他の武偵殺しも「実は殺したふりして誘拐してました!」で無かったことにしてヒロイン昇格とか、プロットから予定していたのだとしても急遽設定変更したように見えてしまう。

まぁ兄のオチについては意表を突かれたので、そこだけは評価してもいいかも。
東京武偵高校、そこは武力を行使する探偵―通称『武偵』を育成する特殊な学校。強襲科の超エリートでSランクの最強武偵・アリアと、そのパートナーに選ばれてしまった(普段は)ただの一般人・遠山キンジの今回の使命は、超能力捜査研究科の期待の星で、キンジの幼なじみでもある白雪を誘拐魔・デュランダルから護衛すること、つまりボディーガードだ。しかしキンジの目には白雪が狙われているようには見えず、やがてアリアとの仲の亀裂が入り…。忍び寄る敵!!緋色の巫女に秘められし力が魔剣を斬り裂く、大スケールアクション&ラブコメディー第2弾。

なんかいろいろと酷かったw

1巻ヒロインがホームズ4世で敵役がルパン4世、2巻の敵役はジャンヌ・ダルク30世でヒロインが卑弥呼の子孫とかfateもびっくり。

ちなみにヒロインのキメ台詞は

「たしかにきさまはずばぬけた能力の持ち主ではあるがしょせん20~30年の訓練の成果でしかない
北斗神拳を身につけたおれは二千年もの間一子相伝によって受け継がれてきた暗殺者としての血がながれている
おれは生まれた時すでに暗殺者だった」


とかそんな感じ(ジャンヌは600年、卑弥呼は2000年の歴史)だったような気がする。間違ってないぞ、うん。

緋弾のアリア

2009年6月4日 読書
東京武偵高校、そこは武力を行使する探偵―通称『武偵』を育成する特殊な学校。「あるきっかけ」で頭脳が活性化するという体質を持つ遠山キンジは、そのことを周囲に秘密にしつつ、平穏を求めて日々を送る探偵科所属の高校二年生。しかし、通学途中に爆弾事件に巻き込まれ、強襲科の超エリートである神崎・H・アリアと出会ってしまったことにより、キンジの日常は平穏とは程遠いものへと変わっていくのだった―。Sランクの最強武偵・アリアと、(普段は)ただの一般人・キンジの凸凹コンビが凶悪犯に立ち向かう、大スケールアクション&ラブコメディー。

うう、またこのパターンか...

某・東京の1/3の面積がある学園都市さんよりかはまだマシだがそれでも大概だなw嫌いじゃないけどなー巨大特殊学園。

話そのものは、敵役が死にも捕まりもせず逃げおおせたり、どー見ても顔見世程度にしか登場しないけどいかにもわけありなヒロインキャラがいたりと、「続きは2巻でネ☆」満載なので評価保留。
残酷。―それは人生そのものか。酷薄なる運命のことか。積み重なりし理不尽に対し、怒りと共に選ぶ道のことか…残酷号と呼ばれる謎の怪人が戦火の絶えぬ世界に降り立つ。無敵の力をふるい暴虐の軍と闘うその正体は、心を喪失したひとりの少年、義賊ロザンは少年を救おうとするが、その前に立ちはだかるのは、怪人を生み出した元凶―邪の極ともいえる敵だった。歪んだ世が悪を生むのか、人の性が悪ゆえに世が歪むのか。なくした心を探し求める残酷号に未来はあるか。

挿絵がっ!金子一馬氏じゃっ!!無くなったっ!!!

というだけでもかなりテンション下がった。


物語は前作「禁涙境事件」で終盤に登場した残酷号の誕生にまつわるエピソード...なんだけど、その前作が4年前だったのでもうほとんど覚えてねぇw 殺竜事件とか海賊島事件はわりと記憶にあるんだけどなー。

んで、ミステリ的な要素はほぼなく、ファンタジー世界でブギーポップなお話になってしまっている。それはそれで最初からそーいうもんだと認識して読めばわりと面白いんだけど、ファンタジーミステリー期待してるのにソレだとなぁ。
文学初心者の少女が綴る、もうひとつの“文学少女”の物語!
聖条学園に入学した日坂菜乃は、ひとりの上級生と出会う。文芸部部長、井上心葉。遠い人を想い時折切ない目をする彼に、強く惹かれる菜乃だったが、まるで相手にされず、落ち込む日々を過ごしていた。けれど、菜乃がある事件に巻き込まれ、追い詰められたとき、心葉は告げる。「気づかないふりも、目をそらすことも、もうしないって誓ったんだ」――彼とともに、菜乃は、物語に隠された真実を探し動き出す……! もうひとつの“文学少女”の物語、ここに開幕!!


2010年に映画化決定だからそれまでなんとしてでも繋ぎたい、ってのはわかるんだけど綺麗に終った本編にこうも外伝とか(既に2冊目)出されちゃうのもなんだかなぁ...という。

新ヒロイン・菜乃目線で描写される心葉が、なんつーか作者の「心葉萌え」をまんま出しちゃっててドン引きだったり。

ヒロインがことごとくヤンデレなこのシリーズなので、この子もいずれは...なるのかなぁ?
’97年版『このミステリーがすごい!』第3位
密室トリック、首なし死体、消えた凶器……快刀乱麻の名探偵・天下一が挑む難事件。

「これぞ天下一、変幼自在の快作」
『密室宣言』を読み、手を拍(う)って以来のファンである。小林秀雄はいった、谷崎においてはマゾヒズムが(ついにもののあはれにまで到達した)と。本格推理の自虐趣味が、この『天下一シリーズ』では<をかし>の領域に行き着いた。コピーして人にも読ませたい。しかし、日本中に配るだけのコピーはとれない。それが難点だった。こうしてまとめられたのが、実に嬉しい。――北村薫


某ツタヤ行ったら松田弟が探偵っぽいコトやってるPVを流してたので「おーこんなマイナードラマのDVDを大々的にプロモってるわー」と思ったら逆転検事のPVでござったの巻、そんなツカミ。

原作は何年も前に読んでて(内容は半分以上忘れてた)ドラマ的には可もなく不可もなく...と思ってたけど今日の「叙述トリック」は笑撃的で一気に神作品と化した。おもに大和田伸也のおかげで再考の名探偵の掟に。
人間国宝、長唄の安東流家元の邸内で女弟子が殺された。左手には三味線の撥が握られていた―。犯人は内部の者としか考えられなかった。二代にわたって妾を邸内に住まわせているこの家では、夫婦・親子の間で嫉妬や憎悪が渦巻き、誰かが誰かを殺す動機には事欠かないほどだった。しかしなぜ女弟子が?警察が謎の糸口もつかめないまま、やがて第二の殺人が…。名探偵・伊集院大介が初登場する、本格推理の名作。

グインサーガを1巻の途中で挫折した俺にとって、栗本薫って人は伊集院大介シリーズとぼくらシリーズの人だったんだよなぁ、と。

この「絃の聖域」はシリーズ最初の作品にして自分の栗本初体験でもある本で、それだけに感慨深い。当時はまだ「ホワィダニット」ものを全く読んでなかった事もあって動機が斬新に思えて、補正も込みで伊集院シリーズ最高傑作だと今でも信じてる。

まぁ、この後の「~冒険」「優しい密室」「鬼面の研究」あたりは普通に傑作なのでともかく、シリウスが出てくる「天狼星」以降はBL臭がきついわ伊集院はショタだわ推理しないわどーでもいーウンチクで話作るわでアレだったからなー。この「絃の聖域」でもBLは出てくるけどw
真冬と出会った春。海への合宿とはじめてのライブを経験した夏。さまざまなイベントを経て真冬への想いに気がついた秋。―そして冬。真冬の誕生日とクリスマスの季節。ナオはその機会に自分の想いを言葉にしようとするが、神楽坂の思惑や千晶の想いに翻弄され、なかなか一歩が踏み出せない。一方で再度のライブに向けてフェケテリコは練習を開始する。そんな中、真冬の身に異変が起こり―。はたしてフェケテリコと四人の恋の行方は?おかしくて少しせつない、恋と革命と音楽が織りなす物語、完結編。

作中で「言葉だけでは人の心には届かない」「言葉を本当に魂の底にまで至らせる方法は(中略)血を流すか、歌を流すかだ」と自ら述べているように、小説という文字だけの媒体だけで人を感動させたり萌えさせたりすることは、容易くない。

だからラノベは挿絵に始まってドラマCDだとかコミカライズだとかアニメ化に走るってそれらからの相互補完フィードバックでメディアミックスに走るわけなんだけど、杉井光の場合は小説の行間に音楽を閉じ込めることによってそれら過去の名曲の力を借り、物語をよりメロウでドラマチックにする手法を取ったんだなー、と解釈した。ただこの手法は諸刃の剣で、アニメ化とかしようとした場合クラシックの曲はともかく洋楽とかJ-POPは著作権という壁が立ちはだかるわけで。下手にオリジナル曲とかに差し替えられると作品の力も半減してしまうという。

まぁ、作中で使われている曲の半分も知らなかったんだけどねw 作者サイトの曲解説でメロディを脳内イメージして補完再生しつつ読むのもまた乙ですよ。



*本編内容はもう申し分なく、語るべきシーンも多いけど(ラストシーンとかユーリとの同衾とか)やっぱりクリスマスライブかなぁ。
あすこは物語の王道パターンとしては他にも展開候補があったと思うんだけど

・アンコールで真冬が駆けつけギターを弾く...愚
・アンコールでユーリが真冬の代わりにギターを弾く...愚の愚

どっちにもならなくて良かった(前日にユーリがベースギター弾いた時はヒヤヒヤした)
幻聴(?)で真冬のギターサウンドが聴こえる、ってのはちょいファンタジー入ってるけど、1巻導入部の前フリもあったしわりとスンナリ受け入れられてすげージンときた。半分以上はジョンの「ハッピークリスマス」の力だけどっ!



*さて、とりあえず現時点での杉井光全制覇は終わったので好みの順位を付けてみる。

ピアノ≧メモ帳>火目>イタカ>ばけらの>さくら

うーん要するに

青いの>シリアス>コメディ

なのかw

ピアノとメモ帳は甲乙付けがたいんだけど、挿絵の差と完結してるかどうかの違い、かな。



*え、いつのまにか杉井センセの新刊あと2冊ばかり出てるの?

えむえむっ!

2009年5月26日 読書
とある事件をきっかけに、女性にあんなことやこんなことをされると気持ち良くなってしまうという困った体質に目覚めてしまった砂戸太郎。このままでは普通の恋なんてできるはずがない!この体質を治し、そして愛しの“シホリ姫”に告白するため「生徒たちの願いを叶えてくれる」という第二ボランティア部を訪れた太郎だったが、そこにいたのは自称・神を名乗る激しく勘違いな美少女・石動美緒と、太郎が目覚めるきっかけとなった忌まわしき存在、結野嵐子だった―。女の子たちから次々に放たれる快楽の罠!がんばれ太郎!そこで喜んじゃダメなんだ。

またあのコはこんなキワモノラノベを寄越しやがって...と思って下調べしたら「シリーズ累計100万部突破!」と知って吹いた。日本終わってるなw

とにかくキャラクターが一人残らずHENTAIという清清しいまでに潔い設定で、しかもそれを「意味のない設定」にしてないところは良い。こないだ読んだアレは意味のない設定が(ry

フツーにバカ話で終わってもよかったけど、ラノベらしく「ちょっとイイ話」で締めるのはすきずきかなー。

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